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院長の臨床メモcolumn

2020.05.27

血液透析施設のCOVID-19発症後の追跡調査

(概要)

・アメリカインディアナ州の小児透析施設のうちの一人がコロナウイルス陽性となり、その後の透析室の追跡調査が行われた

・13名の患者、11名の看護師、4名の事務員、10名の医師

・3週間の経過観察中の医療従事者の2名が感冒症状が出現した。2人ともPCRは陰性であったが、このうちの1人は後日、抗体検査で陽性となった。

・それ以外の医療従事者23名は無症状であったが、経過中に抗体陽性者が増加し、最終的に10名のスタッフが抗体陽性となった。

・患者も13名がすべて無症状であったが、2名が抗体陽性となった。

 

(感想と印象)

・透析患者では一般外来と比べて3密になりやすい。

・普段から適切な感染防護を行っていないと、感染暴露がされやすい状況である。免疫力があり、運良く、無症候性に自然免疫を獲得することもあり得るが、無症候性の医療従事者から透析患者に伝播してしまうリスクはある。

・この報告では無症候性の抗体陽性率が高いため、抗体の偽陽性の可能性は否定しきれない。一方でこれが偽陽性でないとすると、透析室はかなり感染が伝播しやすい環境であるともいえる。

・日本でも抗体検査が行われているが、今回の研究のように、COVID-19に対応、あるいは濃厚接触とされた患者あるいは医療従事者に限った抗体検査の検査の報告が期待される