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院長の臨床メモcolumn

2020.05.28

インフルエンザ検査の唾液からの検出について

(概要)

・鼻腔と咽頭で増殖することから鼻腔や咽頭のぬぐい液から検体を採取する。

・唾液に関する報告は少数ではあるが、2010年に咽頭、鼻腔、唾液からの検出方法を比較している報告がある。

A型H1N1での研究で、LAMP法、PCR法、培養法の3種類の検査で検討されている。

いずれの方法でも咽頭からの検出率が最も高い結果だった。

唾液の陽性率は高くなく、咽頭と比べると20-60%程度であった。

3つの方法の中ではPCR法で最も高く検出された。

・鹿児島大学の西先生らの報告では糖鎖固定化ナノ粒子PCR法による唾液からの検出について報じられている。

迅速キットでA型陽性の患者では、唾液のPCRで前例陽性であった。また、迅速キット陰性の患者から陽性反応が出ている。

迅速キット陰性の患者のうち、約11%でA型陽性、約14%でB型陽性であった。

 

(感想と印象)

・迅速キットに比べてPCR法では当然ながら感度は高い。

・唾液の研究は少ないが、インフルエンザでもPCR法を用いると十分検出できる可能性が高い。

・2次感染予防を考えると、鼻腔検査よりも唾液検査が安全である。

・今年の秋から冬にかけてコロナウイルスの第2波が危惧される。2019-2020シーズンでは途中から濃厚接触、2次感染予防から診療所でのインフルエンザ迅速検査はかなりしづらい状況となっている。この状態が続くと、この冬もインフルエンザの検査すらできないことが早くも心配される。

・インフルエンザは治療法が確立されていることから早期診断と早期治療が開始でき、その診断意義は非常に高い。そのため、なんとしても迅速検査の実施は不可避である。

・今秋から今冬のことを考えると、ワクチンは当然として、コロナウイルス、インフルエンザウイルスにおける「唾液からの迅速キット」の検査方法の確立が切望される。