シャント流量はシャントの中を流れている血流量でみかけは一緒でも流れる量によって透析効率に影響が出ます。
ですのでシャント血流量の把握は非常に重要なのです。
今回、そのシャント血流量のお話です。
透析のシャント血流量は透析時間の経過とともに血流は低下する傾向にあります。
除水量が多い方は血管の中の水分も減るので血流量は低下しやすくなります。
また血圧が低くなる方も血圧が低いということで血流量は低下します。
つまり、「除水量や血圧が低い方はシャント血流量も減少する」というイメージでした。
しかし、今回の透析学会誌で決して血圧が低いからといってシャント血流量が悪いというわけではないという報告がありました。
超音波検査やHD02という特殊な検査でシャント血流量を測定していました。
この報告でも血流量は時間とともに低下していました。
それは予想通り。
しかしこの報告では血圧が低下した患者さんは必ずしもシャント血流が低下していませんでした。
除水量も関係していませんでした。
びっくりのデータです。
シャント血流が低下するというのはイメージとして血管が「ぺしゃん」となっている状態。
だから血圧や除水量の多さと関係しているというイメージでした。
それではどういった因子が関係しているのか?
①血管の石灰化
②ABIの異常(足の血流が悪い方)
③糖尿病
この上記の3因子がある方はシャント血流が低下しやすいという結果でした。
なるほどという感じです。
糖尿病の方は糖尿病でない方と比べて動脈硬化が強く、血管の石灰化やABIの異常が起こりやすいです。
血管の石灰化が強くなると血管の外から血管の中への血液の流入(プラズマリフィリングといいます)が遅いため、血管が「ぺしゃん」となりやすいです。
血管の中より、血管の外の方が水分は多く分布していますので、透析中は除水とともに血管内に水分が移行してきます。
どんどん移行する方はシャント血流が良くて、移行しにくい動脈硬化が強い方はシャント血流量が下がりやすいのかなあと個人的に思いました。
シャント血流量は透析患者さんには良質な透析には欠かせません。
シャント血流を良好に維持する透析を行う工夫をしなければなりませんね。