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院長の臨床メモcolumn

2015.08.15

(疑問)ミルセラを使った鉄はどう利用されるのか?

ミルセラは従来のエポジンなど違い、ヘモグロビンを上げる効果が高いといわれています。

ミルセラの造血効果の一つとしてはEPO濃度を増やす以外に、鉄を有効利用するといわれています。

体内にたまっている鉄を有効に、骨髄へ運び、ヘモグロビンを増やします。

たしかに、ミルセラを使用すると、全例(当院では)、貯蔵鉄のマーカーであるフェリチンは低下します。

ただ、それがヘモグロビン上昇に結び付くかどうかは別問題。

世の中ではよく、ミルセラの有効性を示し、よく効いたという報告は多くあり、そのような有効な報告では理屈通り、鉄が利用されるのでフェリチンが低下します。

しかし、見てみると、貧血が改善した方でも、改善しない方でも同じようにフェリチンは低下するのです。

貯まっている鉄は骨髄へ運ばれて造血するはずですが、鉄が使われているはずなのに、ヘモグロビンが上がってこないのはどうしてなのか?

骨髄での鉄の抵抗性があるのでしょうか?

貧血改善が乏しい方は、骨髄での鉄の利用効率が低いので、大量の鉄が必要なのか?

でも大量の鉄を投与すると、造血以外にも、また貯蔵鉄が増えてくるはずです。

肝臓やマクロファージにたまっている鉄は基本的には血清に移行し、ミルセラの助けを得て、ヘモグロビンが作り出されます。

ミルセラの治療に抵抗する貧血の場合、貯蔵鉄から切り離された血清鉄はどこに行っているのでしょうか?

疑問ですね。