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院長の臨床メモcolumn

2022.01.06

ラクツロースと便秘症

ラクツロースは肝性脳症の時に発症する高アンモニア血症に対する薬です。

ただ、私はほとんど肝性脳症の患者はみていません。

ラクツロースを調べたのは習慣性便秘症の適応が通ったという話を聞いたからです。


ラクツロースは

①大腸で浸透圧により腸内の水分量が増え、便の量が増えるために排便しやすくなります。

②ラクツロースが大腸で腸内細菌により分解され、産生される乳酸などの有機酸により蠕動運動が更新されます。

③有機酸より腸のpHが低下し、ビフィズス菌や乳酸菌が増加し、反対にアンモニアを産生するバクテロイデスやクロストリジウムなどの嫌気性菌が減少します。


上記の理由で便秘症にも有効ということがわかります。

発症機序を見て納得したのですが、ここからがよくわかりません。

ラクツロースを処方しようと思ったら、保険病名が「高アンモニア血症」だけで、「便秘」の言葉はありません。

あれ?っと思って調べると、ラクツロースの後発品である「ラグノスゼリー」は「習慣性便秘」の保険適応になっていました。

不思議なものです。

とはいえ仕方ないので、ラグノスゼリーを処方しようと思いましたが、最近の後発品不足で供給が間に合わず、十分な在庫がありません。

代わりに先発品を・・・と思うと、ラクツロースは「便秘」には保険が通っていません。

ラグノスゼリーが便秘に使用できることは朗報ですが、後発品不足は大きな問題であり、処方する側の我々の問題もありますが、処方を受ける患者さん側からすると、薬剤負担額が生じる可能性があり、大きな影響を与えています。