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院長の臨床メモcolumn

2022.01.06

オミクロン

連日、オミクロンの報道。

まるで初めて新型コロナが来た時のように、「〇〇県ではじめて陽性者が出ました」などのニュース。

もちろん、2年も経過しているので、対応方法、診断は確立している

陽性者は全員入院。

濃厚接触者は全員ではないが、宿泊療養施設入所。

驚くべきは、感染者の増加速度とワクチン無効(重症化には有効という話)がはっきりしたこと。

デルタ波で感染者数が減少し、ワクチンが有効であったことから、日本全体が安心していた状況で、予想より大きな波が襲来した感じ。

 

オミクロンの最初の発生は南アフリカで11月15日。

2か月たたない間に日本でこれだけの波を起こそうとしている。

軽症、無症状が多いとはいえ、この感染力は半端ない。

倍加速度も速くて約2日という報告もあるが、おおよそは7-10日。

いずれにしろ早い。

仮に本日感染者数が100人として、1週間後には200人となる。

しかし、1週間連続して100-200人程度の感染者が累積するとたちまち1000人程度の陽性者となる。

とても、病院や宿泊施設で耐えれる数ではないことは明確である。

ワクチンの3回目もこれからである。

ワクチンに関しては、いわゆる抗体はかなり減っているが、キラーT細胞を中心とした細胞性免疫の誘導により重症化は防げるという話。

致命的にはなりにくい状況。

治療薬のモルヌピラビルが有用視されており、重症化、入院率の低下も報告されており、うまく運用できれば命は助かるだろう。

死亡率は減るだろう。

重症化率は少なくなるが、感染者が多くなり、重症化数は増えてくるだろう。

また、現在の若者の感染が高齢者まで拡大すれば、間違いなく、増えてくる。

 

問題は、まず医療崩壊を抑えれるかどうか?

中等症と重症者は入院してほしいと思っている。

デルタ波では宿泊療養施設で中等症患者を診なければいけない状況になっていた。

病院は満床の故の話ではあるが、宿泊施設でステロイド治療や酸素治療を行うこと自体、医療崩壊している証拠である。

オミクロンは無症状、軽症が多いことから、基本的には自宅療養者が多くなるかもしれない。

そうなると隔離できなくなり、感染者が拡大する恐れもある。

しかし、中等症や重症の受け皿の確保は絶対である。

世の中の軽症と呼ばれている症例の一部に、経過中に中等症になったが、何とかよくなったという症例も含まれている。

運が悪ければ中等症から重症になった症例もあるに違いないい。

そのような患者を含め病院でしかできないことは、病院で対応できる体制にしてほしいと思う。

 

もう一つ、感染者数が増えると保健所の対応が困難となってくる。

毎日大波のような陽性者数の発生届けがあり、把握できなくなる。

初期の軽症が悪化し、以後の対応が遅れてしまうことだってあり得る。

フォローすること自体困難となりえる。

身を粉にして働いている姿を見たこともある。

個人的には、2類感染症を継続するのは困難ではないかと思ってしまう。

コロナ後遺症もあり、軽症であれば、それでいいという話ではないが、ワクチン、治療薬があるのであれば、医療崩壊、社会崩壊を起こさないためにも。

とはいえ、今そんなことを言っても仕方ないし、方針に従うのみである。

当地もいずれは感染者が増えてくるだろう。

早めにワクチンを打って、対応していきたいところである。