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院長の臨床メモcolumn

2020.06.22

コロナウイルス感染による急性腎障害

(概要)

・コロナウイルス感染は主には肺炎などの呼吸器感染症で重症度判断が行われている。

・一方で、コロナウイルスは川崎病のような血管障害、腎臓を含めたほかの臓器障害に影響を及ぼしているという報告もある。

・米コロンビア大学の報告では、当初の1000人のコロナウイルスの状態を解析している。

1000人中、150例が救急外来を受診、614例が入院(非ICU)、236例がICUに入室した。ICUに入室した78.0%が急性腎障害を来し、35.2%が透析を要した。

・中国からも急性腎障害の発生についての報告がある。333例中251例(75.4%)が尿試験紙法での検査または血液検査での腎障害を示した。そのうち、162人中111人(68.5%)の患者がタンパク尿の寛解している。急性腎障害を発症した35人の患者(のうち、16人(45.7%)が完全寛解した。腎障害を併発した患者は、併発しなかった患者と比較して全体的な死亡率が高かった。

 

(感想と印象)

・コロナウイルスは肺などの呼吸器以外にも腎臓にも効率に悪影響を与える。

・急性腎障害の場合、細菌やウイルスによる直接の影響、薬剤性、血行障害、脱水症などが多いが、コロナウイルスでも、腎臓の中にある糸球体、間質に直接的な障害を与えている症例はあると思われる。

・腎障害を合併する頻度は高く、さらに、血液検査で腎機能が悪化する急性腎障害を起こした場合、透析が必要となる可能性があり、完全寛解も低いことから、腎予後は良いとは言えない。

・重症患者が多い国では、急性腎障害により透析導入となり、離脱できず、そのまま維持透析となった症例はあると思われる。