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院長の診療日記column

2021.12.25

RAS阻害薬の中止と腎心血管予後

透析フロンティアに群馬大学の小松教授の投稿を拝見した。

RAS阻害薬はCKD、特に尿たんぱくを有するCKDの中心的な治療薬であり、欠かすことのできない薬剤である。しかし、発売当初から投与中のクレアチニンやカリウムの上昇には留意するよう言われている。

RAS阻害薬による高K血症の発生では、CKDが進行したステージで発生しやすい。

GFR30未満の患者でRAS阻害薬を中止した群と継続した群における死亡率、心血管イベントの発生を負ったスエーデン、ペンシルベニアでの4000-10000人規模の観察研究がある。

結果は、継続したほうが死亡率や心血管イベントは少なかったということであった。

これに関しては予想された結果ではあったとは思うが、透析導入などの腎予後に関しては両群で有意差がなかったということである。

つまり、ある程度進行した状況ではRAS阻害薬を飲んでいても腎臓に関しては優位に働いていない可能性がある。もちろん、生命予後に寄与するものであるため継続したほうがいいという話になるが、CKDが進行した状態ではカリウムが上昇しやすいため、カリウムが高値の患者は中止も検討したほうがいいかもしれないという印象を少し持った。

K-DOQIでは進行したCKDではRAS阻害薬を投与しGFRが20%以上の低下、尿たんぱくが改善しない、血圧の著明な低下、急性腎障害(クレアチニンの急激な上昇)、利尿剤やK吸着剤を投与しても高K血症が改善しない

⇒上記の場合は、RAS阻害薬を中止するという指針がある。

CKD外来では、透析導入を極力遅らせよう、あるいは透析にならないようにしようということが普段の診療の目標となる。生命予後や心血管イベントはもちろん重要であるが、目の前にあるデータを中心に診療が進む。その中で、K上昇は致命的にもなりえることから、腎予後に大きな影響がなければ、K上昇のリスクを冒してまでRAS阻害薬を継続しなくてもいいのかもしれない。