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院長の臨床メモcolumn

2019.07.05

DNAR

木曜日に、加古川市高砂市消防救急体制に掛るメディカルコントロール連絡会が行われました。

平成30年度の救急業務、救急件数、特定行為などの救急にかかわる医療行為の実施などの報告会が行われました。

その中で、「病院前診療における心肺蘇生を希望されない患者が救急要請されたときにどうするか?」という問題提議がありました。

つまり、心肺蘇生を希望していない患者が心肺停止状態で救急要請したら、救急隊は「本当に救急措置」を行わなくていいのか?という問題です。

本人の事前の意思の確認があり、どの家族も心肺蘇生をしないということで全く問題がなければ問題はありません。

でも、実際救急で呼ばれた救急隊は証明書があるわけでもなく、本当に医療行為をしなくていいのか不安になります。

医療行為をしないと助けることはできないからです。

あとから、違うご家族から心肺蘇生をしなかったことに納得されないこともあるかもしれません。

心肺蘇生をするべきかどうか?という点は「人生の最終段階になってきた時点」から考えていく流れとなっています。

ACPという考え方で、本人、家族、医療従事者、介護職が何回も話し合い、どういう風に最期を迎えていくか?

今回は救急隊のメインの会議ですので、『救急隊の対応をどうするべきか?』という点で考えられましたが、

大切なことは「患者さん側が望む安楽な最期を看取ること」です。

それには意思の確認が大切です。

事前に、人生会議を重ね、自分の人生を考えておくこと。

人生の最期を考えておくということは残酷のように見えるかもしれませんが、元気なうちにというわけではなく、あくまで「人生最終段階」の時点で考える話です。

在宅の方も、老健や特養などの介護施設に入所の方も今後ACPが導入されていくものと思われます。

このACPの話が進んでいけば、救急隊の問題も少しは軽減すると思います。

救急隊は24時間365日市民のために働いています。

救命を目的としています。

救命と心肺蘇生しないということが相反することで、一刻を争う状況で判断することはなかなかできません。

救急隊にとっては非常に悩ましい話ですし、それだけに非常に重要な問題です。

線引きは難しく、ガイドライン化しづらい話ではあります。

今後、訪問診療医、往診医、かかりつけ医も含め、時代の流れに沿いながら、ACPについて考えていく時代に来ています。

夜は加古川内科医会総会もあったので、診療、会議、総会とあわただしい一日でしたね。