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院長の臨床メモcolumn

2023.07.30

慢性腎臓病(CKD)のたんぱく質制限

慢性腎臓病が進行したステージではたんぱく質制限が必要となります。

CKDステージ4-5で厳格なたんぱく質摂取群と(体重当たり0,6g)と標準的なたんぱく質摂取群体重当たり0,8g)で腎臓病の進行を比較した報告がある。

これによると厳格なたんぱく質摂取群の方が約2年透析導入と遅延したという結果であった。

他にも、たんぱく質摂取を制限したほうが、腎機能進行を抑制しただけではなく、酸化ストレスを抑制できたという報告もある。

ただ、たんぱく質の内容にも議論がある。

タンパク質には動物性と植物性がある。

動物性たんぱく質は動脈硬化の進展に悪影響をきたしたり、糸球体の圧を高めたりするという報告がある。

一方の植物性(大豆など豆類)では腎障害の進行を抑制できたという報告もある。

同じタンパク質といってもたんぱく質という観点だけでは植物性の方がメリットがあるかもしれない。

ただ、脂質が少なく、カロリーやビタミンも少ないため、総合的に考える必要がある。

最近では高齢、超高齢のCKD患者さんがたくさんいるが、たんぱく質制限を継続するとやせてしまい体力が低下することがある。

たんぱく質制限を徹底するあまり、食事カロリーも減少し、やせてしまうことである。

また、フレイルというような状況でも厳格な制限を用いるべきではないと考える。

最近、腎機能が悪いという患者さんが多く来院され、みなさん、腎臓病の食事について心配される方が多い。

個々人に提案できるようなサポートを管理栄養士と行っていきたい。