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院長の臨床メモcolumn

2023.08.01

SGLT2阻害薬投与初期の腎機能の数値の悪化

糖尿病治療薬であるSGLT-2阻害薬は大量の尿等を排泄することによって血糖値を下げます。

この薬剤は以前より腎機能にもいいといわれていました。

現在は、糖尿病だけではなく、慢性腎臓病に対してフォシーガ、糖尿病性腎障害に対してカナグルが保険適応となっています。

SGLT-2阻害薬を投与すると、投与初期にクレアチニンが上昇することがあります。

これはinitial dipといって腎保護といって腎臓にあたえる圧を下げる効果があるといわれています。

つまり、initial dip=腎臓への効果あり というわけです。

いったん、腎機能が悪くなっても一時的でそのあとはずっと維持すると効果があります。

しかし、最近ではinitial dipがなくても腎保護作用はあると報告されています。

反対に、慢性腎臓病の中でも推定GFRが25未満など比較的進行した状態でSGLT-2阻害薬を投与した場合、initial dipが生じることによって急激に腎機能が悪化する可能性があるので注意が必要です。

ただ、SGLT-2阻害薬は腎臓には非常に有益な薬剤で、他にも腎性貧血を改善させる、尿酸値を下げるという報告もありますし、癌の脂肪を抑制したという報告もあります。