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院長の臨床メモcolumn

2023.12.10

骨粗鬆症の薬 オスタバロは腎臓病の方に使用できるか?

骨粗鬆症の治療薬は大きく骨を形成する薬、骨を削る骨吸収を抑える薬、その両方に分かれます。

今回お話しするオスタパロはPTH製剤といって、骨形成を促す薬となっています。

PTH製剤としてはすでにテリボン、イベニティが発売されています。

オスタパロは毎日皮下注射する薬で18か月投与します。

テリボンは週1回皮下注射、イベニティは月1回静脈内注射となっています。

毎日って面倒かとも‥と思いますが、専用の自動皮下注射器があるので、自分でおなかに針を刺すよりは機器を押し当てるだけなので抵抗は少ないのかもしれません。

オスタパロ、テリボン、イベニティのいずれが有効かという臨床試験に関しては調べた限りはわかりませんが、オスタパロの方が有効という報告もあるようです。

また、椎体だけではなく、これまでPTH製剤であまり言われていなかった大腿骨にも効果があるともいわれています。

これら3つはどの骨粗鬆症でも使用できるのではなく、重症で骨折のリスクのある患者さんのみ使用できるようです。

骨折の危険性の高い骨粗鬆症とは、

1 骨密度:マイナス2.5SD以下(YAM≦70%) かつ 1個以上の脆弱性骨折⇒近位部骨折、脊椎椎体骨折(圧迫骨折)、上腕骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折

2 腰椎骨密度がマイナス3.3SD(YAM60%)未満

3 椎体骨折の数が2個以上

4 既存椎体骨折の半定量評価法結果がグレード3

腎臓病の方の使用できるのか?という点では、禁忌項目には入っていないので使用はできると思います。

しかし、PTHが上昇するため、腎臓病がない方よりは高Ca血症が発生する可能性があると思います。

骨折しやすい方はすでに、ビタミンDやビスフォスフォネート製剤が入っていると思います。

高Ca血症に注意しながらの選択肢になると思います。