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院長の臨床メモcolumn

2011.07.05

貧血の薬

近々、透析を開始していない腎不全患者(保存期腎不全)さんや透析患者(血液透析、腹膜透析)さんへの腎性貧血の注射薬が発売されるようです。

これまでエポジンやエスポーが多く使用され、4年前からはネスプという薬が腎性貧血の注射薬に仲間入りしました。

ネスプはエポジンやネスポーと比べて約3倍の効果時間があり、投与する機会も少なくて済みました。

今回、中外製薬からネスプと比べてさらに約2.5倍効果時間が長い薬剤が発売されます。商品名はミルセラというそうです。商品名が決まる前はCERAと呼ばれていました。CERAというのは持続的に造血ホルモンを刺激するという意味です。

このミルセラの発売によってどれだけの施設がいままでのエポジン、エスポー、ネスプから変更するのでしょうか?

臨床検査からの結果では貧血の値(ヘモグロビン)は変動が少なく良好であり、過度に上がりすぎず、下がりすぎずという結果で非常に使いやすい印象を与えてくれました。

本当に使いやすいかどうかは実際、病院やクリニックで大勢の方が使ってみないとわかりません。長時間作用するからといっていい効果を示すわけではありません。実際ネスプでヘモグロビンの変動は強い印象はありました。投与回数が減ること自体は業務上のメリットは非常に高いですが患者さんのメリットにつながるとは限りません。

ただ投与回数が少なくて済むという点では保存期腎不全や腹膜透析の患者さんにとっては有利な情報だと思います。

血液透析での使用に関しては使用経験を見ながら必要に応じて判断していこうと思います。