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院長の臨床メモcolumn

2011.07.07

カーボスター透析液【1】

約4年前に味の素ファーマから新しい透析液であるカーボスターが発売されました。
当院でも発売当初からセントラル透析液と使用しております。
これまでの透析液の中には酢酸というものが含まれておりました。
このカーボスターは酢酸がなく無酢酸透析液ということで注目されています。

酢酸はなぜいけないのか?
酢酸に合わない人(酢酸不耐症)、酢酸があるとごく軽度の炎症が体に生じてしまうなどデメリットが指摘されました。

この炎症はあるとどうなるのか?
炎症があると栄養障害になり、動脈硬化を進展させてしまうMIA症候群というものがあります。

色んな原因でMIA症候群になりますが酢酸もその原因になるのではないかという話です。
栄養や動脈硬化のことを考えると、もしなるのであればそれらの原因の一つである酢酸がない方がいいですよね。

これらに関しては学会発表、論文報告がされております。
酢酸が含まれていないカーボスターを使うと入っている透析液に比べて炎症の程度が少なく、かつ栄養の指標や筋肉量の指標となる数値に関してもカーボスターの方がいい結果を示していたのです。

もちろん酢酸がない=絶対体の中にはいいといっているわけではありません。

ただ、透析液に入っているわずかな酢酸でもMIA症候群の原因になるのであれば酢酸のないカーボスターを使用し、MIA症候群のような動脈硬化や栄養障害のことも考えて、治療にあたりたいと考えています。