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院長の臨床メモcolumn

2023.08.18

尿酸の管理のメモ

  • 尿酸値が6.8以上になると尿酸が問えなくなり析出して、尿酸塩結晶になり沈着する。
  • 尿酸値は7以上が異常値であり、例えば慢性腎臓病などの基礎疾患がある方は8以上、ない方は9以上で治療薬の対象となる。
  • 尿酸値が高いといえば、痛風や結石が有名であるが、慢性腎臓病の進行リスクにもなる。また冠動脈などの動脈にも尿酸塩結晶が沈着し動脈硬化につながるという報告もある。
  • 高尿酸血症のパターンとして、日本人の過半数は尿酸排泄障害型である。次に、尿酸排泄過剰+排泄障害の混合型が多く、尿酸産生過剰型は多くはない。
  • 日本人はABCG2という尿酸排泄するトランスポーターに変異が多く、排泄が弱い。ABCG2は腎臓の尿細管と腸管に存在する。尿酸といえば腎臓から排泄されるイメージがあるが、実際は腎臓からが2/3、腸からが1/3といわれている。
  • ユリス®はURAT-1という腎臓での尿酸を再吸収するトランスポーターを選択的に阻害するため、尿から大量の尿酸が排泄され尿酸値を下げる。
  • 新しい尿酸の薬であるフェブリク®やトピロリック®は尿酸の産生を抑え尿酸を下げる。しかし、ABCG2を阻害するため、排泄経路が阻害されるという報告がある。
  • 日本人の多くは排泄遅延型であることからユリス®などの排泄促進剤が有効である。しかし、単剤では不十分である可能性があることから、単剤で標準的な量を使用しても目標値(尿酸6未満)に達せず頭打ちになる場合は、両者を併用してもよい。
  • フェブリク®やトピロリック®などの尿酸産生抑制剤においても同様に増量しても効果が乏しい場合はユリス®を併用する。