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院長の臨床メモcolumn

2023.08.12

カルシニューリン阻害薬による腎障害

ネフローゼ症候群や自己免疫疾患でカルシニューリン阻害薬であるタクロリムスやシクロスポリンを使用することがあります。

この副作用として知っておかなければならない副作用として腎障害があります。

①急性腎障害:投与して早期に腎障害

血管障害:輸入細動脈が収縮し腎血流量が低下し、糸球体ろ過が低下する。

糸球体障害:血栓性微小血管症により糸球体の血管の血小板やフィブリン血栓をきたす。さらに、血管障害による虚血性内皮障害を起こす。

尿細管障害:近位尿細管において全集性の尿細管上皮細胞の泡沫状変化をきたす。また、微小石灰化をきたすこともある。。

②慢性腎臓病

血管障害:小葉間動脈から輸入細動脈の動脈の中膜に硝子化物質の結節様沈着をきたす。高血圧や加齢による同部位に硝子様変化をきたすが、この場合は動脈の内膜下に出現する。全集性に沈着するので血管が狭小化し腎機能が悪化し、血圧も上昇することがある。

糸球体障害:全節性糸球体硬化をきたす。これは血管障害により糸球体が虚血するためである。また尿細管も障害されるため、糸球体は残っていても、尿細管がなかったり、糸球体周囲が線維化することがある。

尿細管間質障害:間質の線維化と尿細管萎縮。

上記の通り、カルシニューリン阻害薬は腎臓のあらゆる部位に障害をきたすことがあり、無自覚に腎障害が悪化すること上がることがあります。

服用している時に、腎機能が悪化してくる場合は薬剤性を考える必要があると思います。