糖尿病性腎症で下肢閉塞性動脈硬化症の方が何人かいらっしゃいます。
そのなかで一番辛いのは壊疽ですが、それ以外にも痛みがあります。
足への血行不良があるので足先への血流が不足し、酸欠を起して痛くなります。
特にこの時期つらいようです。
このような方に対して以前から足の血管を膨らませるPTAを行ったり、足の血管の血流を良くしたり足の血管を拡張させたりするLDLアフェレーシスを行ったりしています。
LDLアフェレーシスをやっているときはまだ症状が軽減しますが、中止してしばらくするとまた痛くなってきます。
またLDLアフェレーシスをやるという方法もありますが、合併症や医療経済面から言っても簡単にすべきことではありません。
そのなかで80歳以上の高齢患者さんに積層型透析膜AN69膜を試しました。
AN69膜は血液に接すると血管が拡張しやすくなる物質が多く産生されます。
その結果、血流が良くなる可能性があります。
これを週3回おこなってみました。
患者さんはその日から下肢の痛みが随分と軽減し喜んでおられました。
それまで眠れなかった夜が少しでも眠れるようになったようです。
現在も快眠という程ではないにしろ睡眠の悩みはほぼ軽減したようです。
積層型透析膜を続けることはβミクログロブリンなどの物質が蓄積されてくるため選択には迷いましたが患者さんの苦痛を考えると毎日のことですし、積層型を選択しました。
高齢透析の方ですし、苦痛を取ってあげ、毎日を過ごせるようになってもらうことは非常に大切だと思います。
データは経過観察しなければいけませんが、AN69膜を選択して良かったと思います。