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院長の臨床メモcolumn

2020.06.25

透析医師カンファ(月1回:透析患者と骨折)

骨折の好発部位
①大腿骨頸部骨折、②大腿骨転子部骨折、③椎体骨折、④肋骨骨折、⑤足骨折

●重度の骨折と言えば、大腿骨骨折

-透析患者では健常者と比べて約5倍発生頻度が高くなるという報告がある。
-透析歴に増加とともに男女と共に発症頻度が高くなる。特に透析歴16年以上でリスクが増加する。
-頻度は1万人当たり年間、男性で75.7人、女性で174.3人と言う報告があり、女性の発症頻度が高く、当院の患者数では年間1人発生する可能性がある。

●栄養状態と骨折リスク
-大腿骨頚部骨折はアルブミン値・リン値の低い人に多い
-アルブミン3.0未満の人は、アルブミンが3.5以上の人に比べ、2-4倍の合併率が上昇。また、低リン血症(3.0)未満)も、大腿骨頚部骨折の危険が高い

●骨密度の低下が骨折リスクを上げるのか?
-必ずしもそうではないという報告がある。
-50歳以上で骨密度の男女差が大きくなる。しかし、骨折を発症する頻度に有意差がないという報告もあり、骨密度の低下=骨折しやすいわけではない。骨粗鬆症による病的骨折(こんなことで骨折しないだろうと思われるようなことで骨折するような状況)よりも外傷で骨折することの方が圧倒的に多い。