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院長の臨床メモcolumn

2020.09.20

今冬に注意しすべき症例

(概要)

・今年2月、日本で初めての透析患者における新型コロナウイルス感染が報告された。

・咳、鼻水、高熱でインフルエンザA型と診断され、治療を受けた。インフルエンザを罹患した場合、二次感染を予防する意味で、空間的な隔離を行う。インフルエンザ治療により解熱し、インフルエンザ検査は陰性となったため、隔離を解除された。

・しかし、その後、咳が持続し、悪化し、さらに高熱が再発されたため、後日、新型コロナウイルス感染と診断された。

・この症例は入院治療となったが、スタッフなどの2次感染は報告されていない。

 

(印象と感想)

・当時、新型コロナウイルスという形の見えない状況の中で、2次感染を引き起こすことなく対応されたと思われる。

・この症例はインフルエンザが先行し、併発したのか、合併症として発症したのか、記載されていなかった。インフルエンザ後の咳嗽はよくある話であり、基本的には対症療法となる。また、咳が出て、発熱がある場合は、細菌感染の併発を考え、抗生剤の投与を行う。今回の場合は、結果、新型コロナウイルス感染症であった。報告数がかなり限られた当時の状況、また、地域的に新型コロナ発症がなかった場合は、診断がかなり後手後手となる。後手となるということは、感染者を特定できず、家族、周囲の透析患者、透析スタッフなどにも2次感染を起こす可能性が高かったと思われる。また、新型コロナ確定診断後の対応もかなり苦慮されたと想像できる。

・この報告は、透析施設において今冬発症する可能性がある2大呼吸器感染に対する留意すべき症例と考える。