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院長の臨床メモcolumn

2020.06.02

甘草と透析

(概要)

・透析患者では有痛性筋けいれんが多く、芍薬甘草湯がよく使用される

・便秘症も多く、錠剤もあることから大黄甘草湯がよく使用される。

・甘草は甘く、漢方薬の70%に含有されている。

・甘草の成分にはグリチルチリン酸が含まれ、11β水酸化ステロイド脱水素酵素を抑制することにより、コルチゾールが増加する。

その病態を偽性コルチステロイド症という。

症状は浮腫、筋力低下などのミオパチー、血圧上昇、カリウム低下がある。

・1日2.5g以上の服用で発症しやすい。

 

(感想と印象)

・甘草は漢方薬に欠かせない生薬である。

・1日服用量の中に、芍薬甘草湯で6g、大黄甘草湯で2gの甘草が含まれている

・芍薬甘草湯を1日3回飲んでいると、偽性コルチステロイド症を発症する可能性はある。

・しかし、個人差はあると思う。短期間で浮腫を発症するケースもあれば、長期間飲んでいても発症しないケースもある。

・有痛性筋けいれんは透析患者にとって苦痛となる症状の一つであるが、芍薬甘草湯は屯用での使用が好ましい。

・透析患者ではカリウムが低下する頻度は低いものと考える。ただ、透析前にカリウムが4未満となるような場合は、透析後に3近くになるため要注意となる。