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院長の臨床メモcolumn

2020.06.01

コロナウイルスの抗体について

(概要)

・感染後約4日間でIgMやIgGのセロコンバージョンが起こる

・抗体の存在は1週間後には約40%だが、15日以降には急速に増加する。

・日本感染症研究所では約10日後に約50%、2週間後以降には100%弱で抗体が出現すると報告。

・コロナウイルスと診断された症例のIgGの感度などの報告では、

感度83.3%、特異度95.0%、陽性的中率94.8%、陰性的中率83.8%と報告されている。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32306047/?from_term=antibody+COVID+&from_pos=2

 

(印象)

・国内でも自治体や病院レベルで抗体検査が実施されているが、コロナウイルス中核病院で0%だったという報告や患者さん、市民の抗体保有率が1-5%くらいとさまざまである。

・実際、コロナで対応していた病院から抗体が検出しなかったことは、感染対策がしっかりされていた可能性が高いとも思われるが、自然免疫を期待している部分もあったので、抗体獲得は容易ではないと改めて実感する。ただ、個人個人がしっかりと感染対策を行うことが、一番の感染対策になるともいえる。

・報告レベルでは抗体の感度、特異度は高いと言えないが、ロシュ製、米アボット社では感度や特異度が高い抗体検査キットが発売されており、日本でもロシュ製が認可される見通しである。PCR検査を含め、診断が100%とは言えない状況ではあるが、その中でも、感度と特異度の高いキットの使用が望まれる。