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院長の臨床メモcolumn

2020.05.31

レムデシビルに対する治療効果

(概要)

・NEJMという世界的にも有名な医学雑誌に、COVID19の重症例に対するレムデシビルの効果についての報告があった

・53人で解析され、期間の中央値18日間

・57%が人工呼吸器で、8%がECMO

・有効率68%

・死亡率13%

・退院率;人工呼吸器をつけていた患者のうち56%、非侵襲的人工呼吸器をつけていた患者のうち71%、低用量の酸素吸入をしていた患者のうち100%が期間内に退院した。

・副作用:肝障害、発疹、下痢など。重篤な副作用もあるが、もともと重篤な症例であるため、薬剤との因果関係は明らかではない。

 

(感想と印象)

・私自身、COVID19の患者の診療をしたことがなく、レムデシビルを投与した経験もない。今後も、経験することはない。

・レムデシビルの投与は入院患者に限られ、さらにSPO2 94%以下、酸素吸入などの基準がある。

・腎障害に関してはCKD4,5、透析患者では使用できない。

・以上の報告から、重症例の中でも死亡率は低いと考えられ、レムデシビルは中等度以上の症例では臨床経過が改善され期待できる。

・アビガンの保険適応も期待できるが、現在のところ状況は厳しい。アビガンは軽症や中等症の患者に期待されるが、十分な結果が出ていない。治験の報告では発症数日経過した症例と比べて、早期治療を開始したほうが臨床経過がよいと報告されている。しかし、アビガンが本当に効いているのか、薬に関係なく自然に治癒したのかが明らかではない。ここで改善した症例はあるということだが、いろんな症例を集めて検討すると有効な結果が出ていない状態である。個人的には治療の選択肢が増えることを切望しているが、まだ壁はありそうだ。