はじめての方も
お気軽にご相談ください

院長の臨床メモcolumn

2024.09.03

透析患者さんの尿検査(細菌)は意味があるのか?~カンファレンス資料

透析患者の尿の特尿
① 尿量減少による尿路洗浄能の低下、②感染しやすい、③神経因性膀胱(膀胱の収縮が悪
い)、④尿路結石の合併

〇一般的に尿路感染を疑う場合
① 膀胱炎症状がある(排尿時痛、頻尿、下腹部違和感)
② 尿検査で尿白血球陽性(膿尿)
③ 腎盂腎炎の場合は高熱

〇透析患者に尿路感染を疑う場合
① 排尿痛、頻尿はない。回復違和感、高熱はあり得る。
② 尿検査をしても尿路感染ではないのに尿白血球陽性であることが多い。
③ 出血性膀胱炎の場合がある。

〇無症候性透析患者の尿所見はどうなのか?(透析会誌48(8)471‐475 2015より)
・尿中に細菌を認めたのは約70%
・尿中に白血球尿を認めたのは約37%
・尿中に白血球‐では、細菌が検出したのは約62%。細菌尿は約29%。
・尿中に白血球陽性+だったら尿中に細菌検出は85%、細菌尿は約45%。
・白血球数が多いからと言って、細菌尿があるとは限らない。
・尿量が300‐400ml以下になると白血球尿(膿尿)が出やすい

→尿検査だけは、尿路感染かどうかわからない。他に病気がなく、尿路感染症を疑って、検査しても感染を起こしているのか、たまたま尿路感染症みたいな所見になったのか区別がつきづらい。尿量が十分ある患者では指標になる可能性がある。

〇原因菌
① ブドウ球菌属
② 溶連菌属
③ 腸球菌属
*一般的に多い大腸菌は比較的少ない。グラム陽性菌が多い。

〇耐性菌
呼吸器感染で使用されるセフェム系やクラリスロマイシンに耐性を認めることがあるが、MRSAやVREなど多耐性菌が多いわけではない。