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院長の臨床メモcolumn

2012.02.04

透析と認知機能

誰しも思うことは認知症になりたくないということ。

若い人も将来認知症にはなりたくないと思い、年を重ねるごとにその思いは強くなり、心配も強くなると思います。

透析という視点から認知症をどう予防していくか?

透析をされている方の場合、アルツハイマーよりは脳血管障害(脳出血、脳梗塞など)による認知量の方が多いようです。

これを予防するためには

①減塩

②血圧・血糖コントロール

③Pコントロール

④定期的な動脈硬化のチェック

は最低必要になってくると思います。

ではその他に何があるか?

まず貧血と認知障害に関して

Ht21%以下などの強い貧血は脳全体の血流量と脳酸素摂取バランスがが十分で特に萎縮しやすい前頭葉でそういう傾向があるようです。

ある程度ヘマトクリットを上げると脳の酸素摂取は増加するようですが、あまり過度にヘマトを上げてもよくないようです。

脳の血流という観点からするとヘマトは35%位が妥当という結果です。

あと重要なのが透析中の血圧を下げないこと。

透析中の血圧が下がりやすいほど前頭葉の脳萎縮が増加したり、小さな脳梗塞ができやすくなると言われます。

では透析量と認知機能は?

現在のところ、透析効率を増やしたからといって認知症の予防になるとは断定されていないようです。

しかし、なぜか連日夜間透析をした報告では認知機能が上昇しています。

できれば透析量と認知症との良好な関係が報告されればいいなあと思っています。

認知機能に関してはあまり触れたくない分野ではありますが、透析施設と患者さん双方ともに、今後避けては通れない課題の一つだと認識しています。