1年に1回当院では定期検査を行います。
そのうちの一つにABIという検査があります。
足の血圧と腕の血圧の比を見てどれくらいかを検査します。
1-1.2くらいが良好と判断します。
0.9以下になると、つまり足の血圧が腕より低くなると足の血管のどこかが細くなっている可能性があります。
ABIが一般的ですが、その他にもTBIやSPPという検査があり非常に診断精度が上がってきています。
つまりABIでは下肢動脈硬化と診断されなかったものがSPPを使うと実はもっと下肢動脈硬化の頻度が高くあるということになります。
ではどのような方が下肢動脈硬化になりやすいのか?
1番の注目点は糖尿病と喫煙です。
以下に10年前のデータですが、下肢切断率を示します。
・一般人口:0.086人/1000人・年
・糖尿病:0.14人/1000人・年
・糖尿病でない透析患者:7.1人/1000人・年
・糖尿病がある透析患者:41.4人/1000人・年
驚かれたと思います。
一般人口の方を1とすると、透析患者さんの四肢切断率は82.6倍あります。
さらに糖尿病がある透析患者さんでは481倍あります。
糖尿病がある透析患者さんで喫煙をされている方はもっとあるということになりますよね。
きびしい現実を目にしてしまっとと思うかもしれません。
昔のデータで下肢動脈硬化に対する認識が低かった時代です。
認識が低いと検査もしません。
気付いた時には既に遅かったということで下肢切断になっている可能性があります。
最近は下肢動脈硬化に関しては浸透してきています。
透析分野においても看護師を中心にフットケアが浸透してきており、足を守っていこうという傾向になってきています。
その一方で足(下肢動脈硬化)について全く触れていない透析医療機関もあるかもしれません。
足は守らなければ切断の危険性もあることながら、命の危険性も出てくることがあります。
切断された後の人生ってなかなか想像しがたいものがあります。
是非とも足には気を配ってほしいと思います。