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院長の臨床メモcolumn

2013.05.06

慢性関節リウマチと腎臓病

慢性関節リウマチと「腎臓病」って関係があるの?と思われる方も多いと思います。

実際、当院ではリウマチで整形外科に通院され、腎臓の定期検診で来られている方が数名いらっしゃいます。

リウマチで腎臓が悪くなることは決して多くないですが、注意しておくべき疾患です。

大きくは3種類あります。

①リウマチ自体から起こる腎障害

・メサンギウム増殖性腎炎
IgAやIgMという免疫グロブリンが腎臓のメサンギウムという部位に引っ付いて、蛋白尿や血尿をきたします。この場合は、大量の蛋白尿が出現するネフローゼ症候群になることは稀ですが、場合によっては腎炎の治療が必要です。

②治療薬による腎障害

・抗リウマチ薬による腎障害
現在では使用頻度は減ってきていますが、D-ペニシラミン、ブシラミン、金剤は経過中に蛋白尿が出現することがあり、膜性腎症や微小変化型ネフローゼ症候群といった腎臓病になることがあります。内服して1年以内に発症することが多いです。薬剤性のものであれば薬を中止すれば回復します。ただし、回復しない場合はステロイドが必要になることがあります。

・NSAIDs(ロキソニンやボルタレンなど)による腎障害

NSAIDsは長期に連用していると腎臓に負担を及ぼします。この場合は、尿検査で尿潜血や尿蛋白がでにくく、血液検査で徐々にクレアチニン(cr)が上昇してきます。

③リウマチが長期にづづくことによる腎障害

・続発性腎アミロイドーシス

長い間リウマチに罹患し、蛋白尿が出現してくることがあります。特に、長い間CRPなどの炎症が多い方は注意が必要です。徐々に尿たんぱく尿が増え、浮腫などが出現します。また、腎臓病(血清クレアチニン)も徐々に上昇してきます。最近ではメトトレキセート(リウマトレックス)や種々の生物学的製剤で治療を受けておられる方が多く、長期間CRPが上昇する方も少なく、今後アミロイドーシスは減ってくると期待しています。

それ以外にはANCA関連腎炎、全身性エリテマトーデス、しぇーグレン症候群との合併による腎障害もあります。

基本的には、①-③がリウマチに伴い腎障害で有名です。

検査としては尿検査(尿潜血、尿蛋白)、血液検査(蛋白、アルブミン、尿素窒素、クレアチニン、CRP)が重要になります。