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院長の臨床メモcolumn

2024.07.28

健診でで腎機能低下を指摘されたとき:腎機能の評価におけるシスタチンC

当院では、腎臓内科の診察を行っており、たくさんの腎臓病の健診異常を指摘された方が来られます。

推定GFR60未満、特に50台の方が多くいらっしゃいます。

尿検査、血液検査を中心に行いますが、腎機能検査として健診で使用されるクレアチニン以外に、シスタチンCを用います。

クレアチニンは筋肉量、食事、腎臓での再吸収の影響により正しく腎機能を評価しているわけではありません。

しかし、健診でも医療現場でも簡易的に、安価に測定できており、何よりも腎機能の評価として基準とされていることから、クレアチニンにおける推定GFRはゴールドスタンダートと言えます。

とはいえ、腎臓病があるかどうかをきちんと評価することは必要です。

その時にシスタチンCを測定します。

シスタチンCは筋肉量、食事、腎臓での再吸収の影響はないためクレアチニンより正しく腎機能を評価できるといわれています。

当院ではクレアチニンとシスタチンCの両方で評価します。

KDIGOで、クレアチニンとシスタチンCを併用した場合、どちらか一方のマーカーを単独で用いた場合と比較して、GFRの推定精度が向上することが示されています。

特に、クレアチニンでの推定GFRc45~59mL/分/1.73m2のグループでは、併用式はeGFR45~59mL/分/1.73m2の16.8%をeGFR>60mL/分/1.73m2に正しく再分類できたと記されています。

つまり、健診で異常でも、シスタチンCでは慢性腎臓病ステージ3以下ではなかったということです。

僕の経験上は、クレアチニンでの推定GFRは腎機能が低下している場合は、シスタチンCの腎機能も悪化しています。

クレアチニンとシスタチンCの値にギャップがある場合は、腎機能は保たれている可能性があると思われます。