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院長の臨床メモcolumn

2023.07.13

NSAIDsと腎障害

NSAIDsにはロキソニン、ボルタレン、イブプロフェンが有名です。

痛み止めとしては非常に優秀な薬で、副作用はあるものの鎮痛効果は高く、汎用性もあり、あらゆる診療科で使用されます。

しかし、腎障害のある人には要注意とされています。

NSAIDsは腎臓の糸球体に流入する輸入細動脈という部位を収縮するので濾過する能力が低下する可能性があります。

濾過が低下すると本来排泄されるべき尿毒素がたまりやすくなります。

輸入細動脈が一時的に収縮したとしても薬剤をやめると元に戻ります。

注意なのは、輸入細動脈が長く収縮した状態が続く場合です。

糸球体への血流障害が持続し、糸球体硬化に至って、回復不可能となってしまいます。

また、脱水状態でNSAIDsを飲むと急に腎臓が悪化することもあります。

熱中症や高熱時に飲むときはしっかりと水分摂取をしながら飲んだ方が無難です。

他には、急性間質性腎炎といって、アレルギーが機序で腎障害が出現することがあります。

これは比較的まれなことですが、痛み止めを飲んでいる時に腎障害が出現した場合は鑑別疾患として挙げる必要があります。

 

日常的に最も難しいのは、腎臓が悪い人にNSAIDsを飲んではいけないということ。

痛みというのは本人にとってはつらいもので、精神的にも身体的にも負担になります。

腎障害に優しいとされているアセトアミノフェンやトラマール(用量調整必要)で効果がない場合は、脱水にならないように水分を取りながら屯用でNSAIDsを飲んでいただく事もあります。