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院長の臨床メモcolumn

2023.07.17

NSAIDsによる腎障害②(脱水症に注意)

急性腎障害の中でも薬剤性腎障害というものがあります。

その中で一番頻度が多いのは痛み止めでよく使用されるNSAIDです。

ロキソニンやボルタレンです。

このような薬剤は普段全く問題なくても、脱水症状になっているときに通常通り飲んだりすると急に腎臓が悪くなることがあります。

例えば、猛暑で食欲がなく、水分もとれていないけども、腰痛でロキソニンを飲み続ける場合です。

このような状態では腎動脈の中の輸入細動脈が収縮し、腎臓(糸球体)への血流が低下します。

血流が低下すると濾過する力も低下するため、本来排泄されるべき尿毒素などがたまります。

これらの過程が急速に進行した場合、急性腎障害といいます。

NSAIDsによる尿細管や間質障害も報告され、アレルギー機序が関与しているといわれています。

しかし、頻度としてはまれだと思います。

それよりは、脱水症やもともと腎臓に行く血流が悪い腎臓病の方は安易にNSAIDsを飲み続けない方がいいでしょう。