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院長の臨床メモcolumn

2023.07.15

NAGは急性間質性腎障害に使えるか?

急性腎障害のひとつに、急性間質性腎障害があります。

間質性腎障害の原因として有名なのが薬剤性、とくに痛み止め(NSAIDs)による腎障害があります。

頻度が多いわけではありません。むしろまれな方です。

 

診断として、血液検査ではクレアチニン上昇がありますが、それよりも早期にとらえる必要があります。

尿検査としてNAGという検査を行います。

NAGは腎臓の中の近位尿細管に多く含まれており、尿細管障害がおこると尿中に大量の逸脱されます。(正常でも出ますがかなり少ないです)

弱点としては、間質性障害だけではなく、糸球体腎炎や糖尿病性腎症でも上昇することがあることです。

また、ある程度の腎障害までは糸球体障害から続発的に尿細管が障害され、NAGは上昇します。

あまり重篤な腎障害だとNAGが含まれる細胞自体が障害されるのでNAGは反対に減ります。

ですので、もともと腎障害がないとわかっている場合のNAGの測定は使えると思いますが、もともと腎障害がある方への測定はNAGの意義は低下します。