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院長の臨床メモcolumn

2021.04.05

HPVワクチンについて

(概要)

‐HPVワクチンは子宮頸がんに対するワクチンである。

‐子宮頸がんは年間1万人罹患し、2700人の方がなくなるといわれている

‐20-30歳の子宮頸がんの発生率は25年間で約2倍となっている。

‐40歳代では乳がんに続く2番目に多いがんとなっている。

‐25-29歳のHPV感染は6人に1人といわれており、年々、発生率は低下する。感染=前がん病変や癌が発生するというわけでなく、ほとんどが自然消滅する。しかし、なかにはHPVが持続感染し、前がん病変、がんに進行する。

‐がんになると子宮摘出しなければならないことがある。その時期が挙児希望の時期と重なるというつらい思いをしなければならない可能性もある。

‐ワクチンは、前がん病変の予防に有効とされていたが、がんへの進行を予防するという報告もある。

‐2013年当時は70%接種されていたが、近年では1%未満となっている。原因としては2013年に接種された方が、疼痛、運動機能障害などのCRPS,POTSを発症し、メディアに大きく取り上げられ、問題視されたことから接種勧奨を抑制したことにある。

(印象)

・2021年になり接種を勧奨されることになったが、積極的勧奨ではない。

‐HPVワクチンの意義は非常に高いと考え、しないことへの代償は大きいと思われる。しかし、親の立場からすると、副反応でCRPSなど生じたメディアの映像が脳裏をよぎる。また、HPV感染=癌発生というわけではなく、自然消滅することを考えると、ワクチン接種に二の足を踏む親も少なからずいるのではないか。一方で、子供が将来子宮頸がんになり、子宮摘出を回避できない状態になることを想像すると胸が痛む。2013年当時の接種70%とやってあたりまえの風潮になるにはまだまだ時間を要するのではないか。