先日の新聞で表題のようにiPS細胞でDHAの投与がアルツハイマーの発症を予防したという報道がありました。
DHAというとサバなどの青魚に含まれていて、「頭がよくなる」物質として有名です。
アルツハイマー型認知症は増加傾向にあり、物忘れなどの記憶障害に徘徊、暴言などの周辺症状が加わってくる脳の病気です。
DHAの含まれているサプリメントはたくさんありますが、薬としてはこれまでありませんでした。
昨年9月に武田薬品から「ロトリガ」という薬品が発売されました。
中性脂肪を下げる薬です。
この薬がDHAとEPAが含まれています。
動脈硬化(心筋梗塞や脳梗塞予防)には期待できそうなコンビネーションだといえます。
下記は武田薬品のホームページから抜粋しました。
「ロトリガ粒状カプセルの有効成分はPronova BioPharma ASA(ノルウェー)が製造した高濃度のオメガ‐3脂肪酸であり、主成分としてイコサペント酸エチル(EPA‐E)、ドコサへキサエン酸エチル(DHA‐E)を含有します。
オメガ‐3脂肪酸エチルは肝臓からのトリグリセライド(TG)分泌を抑制し、さらに血中からのTG消失を促進することによりTGを低下させます。また、EPA‐E及びDHA‐Eは肝臓のTG含量を低下させ、脂肪酸・TG合成経路の酵素活性を低下させます。」
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つまり中性脂肪を抑える薬です。
中性脂肪を抑えることによって動脈硬化の進展を予防し、脳梗塞や心筋梗塞を抑えていこうということがこの薬の目的です。
EPA+DHAという組み合わせで中性脂肪は下がります。
しかし、薬の目的である脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発症を果たして抑えることができるのか?
今のところはNOではないでしょうか?
JAMAという世界的に有名な医学雑誌ではDHAとEPAのコンビネーションは必ずしも脳梗塞や心筋梗塞の発症を防げないという発表もあります。
ですからコンビネーションとしては期待しながらも動脈硬化にはまだクエッションといえます。
しかしアルツハイマーの発症の予防という観点からは期待できると思います。
保険適応外なので安易なことは言えませんし、アルツハイマーの予防ということだけでは処方はできません。
しかし中性脂肪が高く、ロトリガの治療をされている方に対してはこの「DHAがアルツハイマーを抑制する」という報道は朗報かもしれません。