日本透析学会で貧血の治療指針(ガイドライン)というものがあります。
色んなデータを蓄積して、日本人に合わせて作っているという日本人の透析患者さんのための貧血の治療指針です。
実際、それに基づいて我々も治療にあたっています。
ちなみに学会の目標ヘモグロビンは10-11g/dlでした。
5年生存率が10-11g/dlが一番良かったという理由です。
このヘモグロビン10-11g/dlとは本来は低い値なのです。
なぜ、この低い値がいいのか?
透析前が10-11g/dlでも透析が終わると11-13g/dlくらいに上昇しています。
それは透析中に除水され、血液が濃縮し、ヘモグロビン値が上昇します。
あまりどろどろになると血管が詰まりやすくなります。高ければいいという風に思われるかもしれませんが実際は”血液どろどろ”になってしまいますので危険なのです。
ですから10-11g/dlと低めに設定されているのです。
そうなると、除水がいらない方は透析をしても濃縮されないので10-11g/dlでは低いですよね。
除水されていない方は高めに設定すべきであって、ヘモグロビン11-12g/dlと設定すべきだと考えています。
ガイドラインは指針にはなりますが、透析患者さんの状況に応じて治療を選択していかなければなりません。