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院長の臨床メモcolumn

2023.06.28

透析患者のLDLコレステロール

〇LDLコレステロールは悪玉といわれています。

動脈硬化学会ではLDLコレステロールは下げましょうとなっている。

CKDガイドライン2013でも下げましょうとなっている。

透析医学会でもLDLは120未満に下げましょうとなっている。

一方で、KDIGOのガイドラインでは目標値がない??
CKD3-5:スタチン単独、あるいはエゼチミブ併用療法を行う(目標値はない)
透析:新たに治療を開始しないことを推奨する。

日本だから日本にガイドラインに従っているが、海外とはなんとなく異なるところがある。

また、CKDにおいても推定GFRが低下するほど、LDLコレステロールによる心血管イベント発生の因果関係は減ってくるという報告もある。

他に、透析患者では、コレステロールの合成が高くても死亡率が高いといは言えない
・コレステロール合成(肝臓):ラソステロール、デスモステロールなどがコレステロールの合成マーカー
・コレステロール吸収マーカー(小腸):食事中のコレステロールは少量のトランスポーターを介して吸収される。マーカーとして7‐ケトコレステロールが注目されている。→CKD患者で推定GFRが低い人や透析患者ではコレステロール合成マーカーが低く、吸収マーカーが高値。
→死亡リスクが高くなるのは合成マーカーが高いのではなく、吸収マーカーが高い方。

透析患者においてLDLコレステロールを減少する意義はあると思うが、本当に下げるべきか、どこまで下げるべきか、何の薬剤で下げるべきなのか?と思うときがある。