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院長の臨床メモcolumn

2016.12.02

透析患者さんの脳血流量の維持

脳は血流と酸素で栄養されているので、脳への血流量は非常に大切です。

血圧が下がると脳血流も低下する可能性がありますが、人間の体はうまくできていて、平均血圧で50-150の間での血流量は一定に保たれるようになっています。

つまり、高くても低くてもそう脳血流には影響しないように自動調節されています。

しかし、透析患者さんでは時に透析後半を中心として血圧が低下し、脳血流が低下するために、意識消失してしまうことがあります(一時的ですぐに戻ります)。

先程の自動調節能力が低下しているため血圧低下とともに脳血流が低下してしまうのです。

特に糖尿病をお持ちの患者さんでは血圧低下とともに脳血流が低下しやすいので血圧が下がりやすい方は要注意です。

血圧が低下しない方はいいですが、透析中に血圧が低下しやすい方はラクナ梗塞や脳萎縮になりやすいので要注意です。

治療としては血圧を下げないためにいろんな手段があると思いますが、今回はドプスという血圧低下を予防する薬の紹介をします。

ドプスはノルエピネフリンという血圧を上げる物質の前駆物質で、末梢血管を占めるα1作用と、脳血流量を増加させるβ作用があります。

また心臓に負担がかからずマイルドに聞くので使いしやすい薬です。

特に血圧が100未満と2けたになる方には有効とされています。