糖尿病、高血圧で当院通院を始めた8○歳の男性患者さんがいらっしゃいます。
体のあちこちが痛くて、だんだんと歩けなくなってきているようでした。
比較的お近くにお住まいであり、当院の評判を聞いて、先月から当院に通院されています。
非常に記憶力があって、しっかりとされていますが、痛みが強く、しんどそうな感じでした。
お話を聞いているといろんなところで、今の自分の症状を訴えても、なかなか聞き入れてもらえず、「老人性うつ」で片づけられていたようです。
血液検査、心電図、エックス線では特別大きな異常はありませんでした。
しかし、精神的につらく、体は悲鳴を上げているようでした。
とくにつらいのは、「足の痛み」と「胸から頭に上がってくるようなふらつきとめまい」ということでした。
まず「足の痛み」から治療していくことになりました。
足の痛みは寝ているときにつらくて、寝ている疼いてきて眠れないようです。
寝ているときの痛みの原因は「冷え」や「痂血」ということが多いといわれています。
痂血や血虚の筋肉痛、関節痛、神経痛(特に下肢)のときには「疎経活血湯」がよく効きます。
それだけでは「冷え」に対して効果が少ないので「附子末」を併用しました。
2週間後に来院され、「ほとんど痛みがなくなって、夜が本当に楽になった。話を聞いてくれた上に、足まで楽にしてくれて。」と目に涙を浮かべておられました。
副作用も出ることがなく、症状が楽になったというのは漢方ならではと思います。
数年前の自分であればまず、治せることができなかったと思います。