日本透析学会誌10月号で、「維持透析患者における残腎機能低下の関連因子に関する検討」という報告がありました。
透析導入して間がない方は結構尿が出ています。
しかし徐々に尿量が低下して、1日200ml以下となったりしてきます。
残腎機能は重要で、水分だけではなく、カリウムやリンも排泄するため、透析での除去+自分の腎臓での排泄も加わるので食事管理がやや緩やかになります。
この残腎機能、透析1年以内で尿が出にくくなる人もいれば1年たっても出ている方もいらっしゃいます。
その違いは?
この論文では①尿蛋白量、②基本体重(DW)の変化率(DWを下げた幅)、③初めの尿量としています。
確かに、糖尿病成人症などのネフローゼ症候群の方は透析導入後比較的早く、尿量が出にくくなります。
また浮腫や心拡大や高血圧など、体に余分な水分がたまる方はDWを下げていくので、体の余分な水分が少なくなり、尿が減ってきます。
しかしこれはやむをえません。
尿量を気にするあまり、余分な水が溜まってしまい、心不全や肺水腫や高血圧などが進行してしまうのですから、余分な水分は除去すべきです。
この論文ではDWを減少率が多いほど残腎機能(尿)が減るという結果ですから納得です。
難しいのが血圧ですね。
高血圧はよくないのは明らかですが、高血圧により圧利尿で尿量が保たれるため、尿を出すにはある程度の血圧が必要です。
しかし、血圧が高いと脳や心臓にはよくありません。
どちらをとるか?
脳や心臓をとるのが当然の答えとは思いますが、尿量を維持したいという気持ちもあります。
これには葛藤がいつもありますね。
なかなかためになる論文でした。