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院長の臨床メモcolumn

2019.01.15

薬剤耐性~咽頭炎を通して

近年薬剤耐性(AMR)が問題視されています。

日本では、抗生剤の約9割が内服薬です。

そのうち使用頻度が多い抗生剤の種類としてセファロスポリン系、マクロライド系、フルオロキノロン系があります。

AMR対策アクションプランとして、2020年までに抗生剤の投与量を33%減少するという目標が掲げられています。

ここ5年で約7.3%、使用量が減少しておりますが、2020年までに33%というのはかなり困難な道のりといえます。

一方で、患者さんが風邪で受診したときに処方してほしい薬として、咳止め、解熱剤、鼻水のお薬、この3つが1番多いとされていますが、3割の方には抗生物質を出してほしいというアンケートの結果もあります。

患者さんも抗生物質を早く飲んだ方が早く治ると思っているのだと思います。

また、患者さんにとっては薬剤耐性と言うのは意識してないのは当然のことだとも思います。

必要な時に必要な日数だけ抗生剤を投与し、抗生剤の種類も上記の3つを意識しながら処方する必要があります。

例えば、最近多い咽頭炎に関しては約90%がウイルス性と言われており、抗生剤は不要と言われています。

特に成人に関しては、溶連菌感染も少なくウイルス性であるため、咽頭炎で抗生剤の同意は不要であることが圧倒的に多いといわれています。

ただし、咽頭炎でも、38度の高熱、リンパ節が腫れている、扁桃に白苔がついているなどの所見があれば、A型溶連菌の可能性があり、抗生剤を投与することもあります。

その際の抗生剤は、ペニシリン系となります。といってもA型溶連菌でも、自然軽快しますので抗生剤投与を処方すべきではないという話もあります。

患者さんを目の前にすると早く治してあげたいという気持ちを持つことは当然としながらも、AMRのことを考え、安易な抗生剤投与は控えなければなりません。