はじめての方も
お気軽にご相談ください

院長の臨床メモcolumn

2023.11.25

腎臓の加齢変化

  • 男女ともに腎臓の重量と腎容積は40歳代がピーク
  • 腎萎縮は皮質が中心で、髄質は比較的保たれる。80歳代では腎萎縮が進行しており、腎洞が拡大し、体調の脂肪組織が充満する
  • 腎実質の萎縮は、腎臓内の細小動脈の硬化や閉塞が原因である(特に皮質の表層が著明)
  • 腎臓内の小動脈では40歳代から中膜平滑筋や弾性繊維が増加し、時に内膜の肥厚を認める。それに伴い動脈が狭小化する。狭小化してくる順番は、太い動脈からであり、葉間動脈、弓状動脈、小葉間動脈となる。
  • 血流量の低下の変化として、30歳代を100%とすると、80歳代には50%程度まで低下するといわれる。
  • 糸球体では毛細血管が減少する。輸入細動脈と輸出細動脈の間に短絡が形成する。そのために個々のネフロンの機能が低下する。
  • 糸球体の短絡+皮質の細小動脈の硬化によりさらに皮質の血流が低下する。そのため皮質は萎縮しやすい。
  • 硬化糸球体は加齢的に低下し、若年者は2.7%で、高齢者は73%という報告がある。
  • 血液検査のGFRでは、60歳代で女性は約30%、女性は45%がCKD3-5である。しかし、腎血流量は男性の方が低下しやすい。
  • GFR低下のシミュレーションでは、男性の方が低下速度が速い。
  • 加齢変化でよく腎嚢胞を認めるが、これはネフロンの閉鎖や遠位尿細管・集合管の微小憩室が拡張して形成される。
  • 機能的には、高齢ではNa再吸収が遅延、Na排泄能力の低下あるいは時間の延長(Na排泄時間が遷延するので夜間尿の原因にもなる)、他に尿の濃縮や希釈能力も低下するため恒常性維持能力が低下してくる(低Na血症にもなりやすく、脱水症による高Na血症にもなりやすい)