- 糖尿病による腎障害を起こす経路は①高血糖による直接障害、②糸球体などへの血行動態以上の二つ。
- 糸球体障害ではメサンギウム細胞の機能異常、メサンギウム基質の増加などのびまん戦病変が生じ、進行するとメサンギウム領域が結節病変をきたし、糸球体硬化に進行していく。
- 糖尿病の患者では糸球体に流入する輸入細動脈が拡張し、輸出細動脈が収縮するため糸球体に過剰濾過を生じる。
- 輸出細動脈が収縮する原因はレニンアンギオテンシン系の亢進、輸入細動脈が拡張する原因は近位尿細管でのSGLT-2が活性化しているためである。
- 本来、糸球体過剰になると、マクラデンサでは到達するNaClが多くなるため、輸入細動脈が収縮し、糸球体ろ過を招請する。しかし、糖尿病では、SGLT-2が活性し、近位尿細管における糖とNaの吸収が亢進しているため、マクラデンサに到達するNaCLが低下するため輸入細動脈が拡張している。
- 糖尿病患者では糸球体だけではなく、尿細管間質障害も独立して認めている。障害が進行すると尿細管萎縮や間質の線維化が発症するため尿細管としての機能が廃絶する。