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院長の臨床メモcolumn

2012.01.13

簡易心拍出量がドライウェイトの参考になるか?

今年の6月に毎年行われている透析学会があります。

なんと北海道で!

ということで昨年に引き続き透析学会の発表の申し込み(登録)を行いました。

タイトルはHD02による心拍出量はドライウェイトを反映するか?というような感じです。

HD02という機械は超音波でシャント血流量がどれだけ取れているかを見る機械です。

機械上の数値は透析機器に表示されていますが、実際どれだけ取れているかは不明ですのでそれを測る機械です。

そのHD02で心拍出量が測れるのです。

心拍出量を把握することによって透析中にどこまで引いていいのか、しいてはどこまで引けば血圧が下がらず透析を終了できるのかという目安ができます。

血圧が下がらないぎりぎりのところがドライウェイトとなるともいえます。

僕は患者さんごとの適切なドライウェイトの設定は透析医師としては最低限の礼儀だと思うので力を入れています。

できればHD02が役立ってくれれば。。。

結果、あまり参考にはなりませんでした。

ドライウェイトを決定する上でよく使用される検査としては血液中ハンプ、心臓エコー、胸部エックス線です。

これまで学術的にも使用されていたこれらの項目と今回のHD02の結果が少なくとも比例していなくてはいけません。

しかしハンプと心臓エコーは比例していましたが、HD02とハンプや心臓エコーとは比例していませんでした。

今回の結果で思ったことは心拍出量を簡単に測定できたとしても1回の測定では患者さんのドライウェイトを決めることができないということです。

透析患者さんにおける心拍出量の正常値もわかっていないのが事実です。

血圧と同様、簡単に体の中の心拍出量がモニター画面で継続的にみることができてこそ意味があり、その時に
初めて毎回の透析ごとの適切でかつ安全な除水量を決定できると思います。

心拍出量が減少していた段階で除水をストップするような感じです。

1時間当たりの除水速度をゆっくりすることが理想ですが、そうはいかない現実もあります。

簡単に心拍出量が測定できればドライウェイトの解釈が少し変わってくると考えます。