昨日、加古川市で抗凝固セミナー2015のパネリストとして参加してきました。
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目的は加古川市の脳卒中を防ごう。
心房細動による脳塞栓は人生を変えうる大きな合併症といわれてしまいます。
脳塞栓は突然起こり、本人、ご家族にも大きな打撃を与えます。
我々は脳塞栓をどう予防していくか、内科医としてその知識は問われます。
以前は予防薬としてワーファリンしかありませんでしたが、近年NOACという新しい抗凝固薬も発売されていっています。
私は腎臓病患者さんに対する抗凝固薬についてコメントを行いました。
残念ながらワーファリン、NOACともに慢性腎臓病5、透析患者さんでは禁忌です。
ワーファリンも?思う方もいらっしゃると思いますが、必要に応じて投与は可能とされています。
ですが、禁忌ですので、副作用(特に出血)に注意して使わなければいけません。
私は慢性腎臓病ステージ4,5の患者さんが多いのでNOACは使いづらい印象です。
いままでの4種類のNOACの中では、アリストテレス試験でエリキュースという薬が唯一、腎機能障害を持つ患者さんでも(CKDステージ3)ワーファリンに比べて出血のリスクを減らしたと報告されています。
使うとしたらエリキュースなのかどうか?結論はついていません。
NOACを投与する場合は、腎機能障害
基本的にはワーファリンを使用します。
ただ、出血性合併症が怖いので一般的にいわれているほど強く効かせることはありません。
慢性腎臓病が進行すると出血も怖いですし、効かせすぎると出血すると止まりにくくなります。
投与する患者さんは脳塞栓の既往のある方、人工弁を入れている患者さんです。
慢性腎臓病ステージ5の患者さんは場合によってはワーファリンを使わないことがあります。(抗血小板剤は使用しますが)
ワーファリンの使い方に関しては明確なラインが惹かれていないのが現状です。
目の前の患者さんに対して脳卒中を起こさないように予防していくためのさじ加減と経過観察は必要だと痛感しました。