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院長の臨床メモcolumn

2023.08.07

尿沈渣での円柱形成

尿沈渣は顕微鏡レベルで細かく見る検査。

通常は蛋白+とか、潜血2+とかあるがそれらは定性検査という。

顕微鏡で円柱などを見ることによって、腎臓のどの部分が障害されているか、どのような腎障害なのかを判断する参考になる。

円柱は尿細管で形成され、主に遠位尿細管と集合管で形成さえる。

円柱ができる場合は、尿のアルブミンが濃い、尿自体が濃い、尿pHが低い、尿の速度が遅いなどがある。

一番よくみるのは硝子円柱である。これは円柱の中が何も含まない基質となるもので健常人でも激しい運動後で出現頻度が多くなる。

顆粒円柱もみることがある。これは硝子円柱に顆粒が3分の1以上認める円柱である。霞友は尿細管上皮細胞が編成したものである。病的意義があり、慢性糸球体腎炎や慢性腎不全などの腎実質障害がある可能性がある。

その他、赤血球円柱は糸球体障害に認め、白血球円柱は間質性障害、急性腎盂腎炎、ループス腎炎に出現し、いずれも病的意義が大きい。

(円柱の形成のイメージ)

尿沈渣でみられる円柱成分

 

円柱の存在=病気ではないが、腎障害の状況を知る手掛かりとして重要である。