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院長の臨床メモcolumn

2025.07.31

尿検査で硝子円柱多数

腎臓病の患者様で硝子円柱が多数という所見がありました。

硝子円柱というのは、

主に腎臓の尿細管で分泌される「Tamm-Horsfallタンパク質」という物質が固まってできるものです。

このタンパク質が尿細管内でゲル状に固まり、円柱状になったものが硝子円柱です。

この円柱の器質に、糸球体から漏れ出たタンパク質が加わって固まることがあります。

そのため、尿蛋白が多い状況(例えばネフローゼ症候群など)では、硝子円柱の形成が多く見られるようになることがあります。

ただし、硝子円柱が多数見られるからといって、必ずしも尿蛋白が多いとは限りませんし、病気とはいえません。

今であれば脱水症で尿が濃縮され、尿中の成分が凝縮されて多数出るときもあります。

基本的には、硝子円柱だけでしたが大丈夫なことが多いですが、

尿蛋白が陰性でも硝子円柱が多数出る場合: 近年の研究では、尿蛋白が陰性であっても、硝子円柱が多数認められるケースは将来的な腎機能悪化のリスクを抱えている可能性があると指摘されていますので経過観察は必要かと思います。