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院長の臨床メモcolumn

2015.06.17

今月のスタッフレクチャー

「透析開始後1時間以内に静脈圧が上がって困ったことはないですか?」

という題目。

確かに初めに上がって、だんだん安定することはありますね。

だけど調べたことはありませんでした。

当院に勤務している技士が以前調べたことがあるようです。

凝固系には内因系と外因系があって、、血管内凝固は内因系、血管から外に出た場合は外因系。

透析の場合は血液が体外に出るので、「外因系」になります。

外因系は血液が固まるのが早く、10-13秒で完了します。

しかし内因系は15-20分かかるようです。

透析では血液が固まらないようにヘパリンという血のサラサラの薬を注射しながら行います。

特に、透析開始直後にはワンショットといって、多めのヘパリンを一気に注入します。

ヘパリン投与によって透析回路内の血液が固まらないようにします。

内因系、外因系の理屈からすると、ヘパリンによって外因系の凝固は防ぐことができても、内因系は効いてくるまで時間がかかるので、凝固因子が活性化しやすく、静脈圧が上昇します。

それではなぜ、後半静脈圧が低下するのか?

それは時間が経過すると凝固系が抑えられ、線溶系といって血液が溶けだしてくるので静脈圧も低下します。

血液は体外に出た瞬間、凝固系が働きます。

ヘパリンを透析穿刺時に投与すれがない因子系の凝固活性も少なくなる可能性があります。

というようなレクチャーでした。

アカデミックでなかなか聞けない話をコンパクトにまとめてくれました。

私も非常に勉強になりました。