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院長の臨床メモcolumn

2023.10.03

亜鉛濃度と透析

  • 血清亜鉛濃度60未満で亜鉛欠乏症といわれている。透析患者では4‐5割の方で亜鉛欠乏症といわれている。60‐79の方は潜在性亜鉛欠乏症といわれており、潜在性を合わせると9割くらいの方が亜鉛が低めとなる。
  • 亜鉛欠乏症になると味覚障害や脱毛などで有名であるが、心血管イベントともかかわってくるといわれている。心血管イベントの因子とされる血管石灰化、高血圧、脂質上昇、糖尿病、酸化ストレス、炎症など。
  • 亜鉛欠乏症の方はアルブミンが低い方が多く、亜鉛欠乏症が悪いのか、亜鉛欠乏症+低栄養が悪いのかということになる。もちろんこの両者の存在の方が生命予後は悪化傾向にある。亜鉛欠乏症だけとなると、必ずしも心血管イベント、感染症などのイベントと因果関係があるとは言えない状況である。
  • 亜鉛濃度は栄養の指標と正の相関を示すため、亜鉛濃度は栄養状態を反映しているとも考えられる。
  • 透析前の亜鉛濃度は低いといわれているが、透析後には高くなるともいわれている。原因として、亜鉛の8割が含まれている赤血球内の亜鉛がアシドーシスの改善や溶血などで血中に移動するともいわれている。