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院長の臨床メモcolumn

2023.09.03

リン吸着剤とPPI

PPIは逆流性食道炎などに有効な制酸薬である。

近年では、逆流性食道炎以外でもNSAIDsによる胃潰瘍の予防など含めよく処方されている。

一方で、透析では血管石灰化などを予防するためにリン吸着剤が処方される。

しかし、リン吸着剤の一部はPPIを飲んでいると効果が減弱するといわれている。

減弱する薬としては、炭酸カルシウム、レナジェル、キックリン、炭酸ランタンといわれている。

PPIをやめると胸やけが悪化するし、リン吸着剤をやめるとリンが上がるし。

患者さんにとってはどちらも問題になる。

では、PPIの飲み方を変えればいいのでは?

PPIは食後投与より、食前投与の方が血中濃度が高くなりやすく、効果が高いといわれている。

特にランソプラゾールやエメプラゾールでは影響を受けやすい。

PPIは必要だけど、強く効かさなくていい場合は、食前ではなく、あえて食後にしてみてもいいのでは?とも思う。

食後にして胸やけも安定していて、リンも下がれば言うことはない。

実際、PPIを投与してリンが上昇するケースはある。

やめると下がる。

PPIは非常にいい薬ではあるが、リンの変動にも注意しなければならない。