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院長の臨床メモcolumn

2024.09.29

ベージニオ®によるクレアチニン上昇

乳がんの治療薬にベージニオという薬品があります。

この薬を飲むと腎臓の数値であるクレアチニンが上昇する方がいます。

本来、クレアチニンは糸球体でほとんどが濾過されます。

しかし、排泄されるクレアチニンの10‐40%程度は腎臓の尿細管から分泌されます。

ベージニオは尿細管からのクレアチニンの分泌を阻害するといわれています。

血管内→尿細管細胞のトランスポーター;OCT2,OAT2

尿細管細胞→尿のトランスポーター;MATE1,MATE2

このトランスポーターを阻害するので、血管内のクレアチニンが尿に排泄されないことになります。

糸球体障害によるクレアチニン上昇であれば、腎臓が悪くなったといえますが、

ベージニオの場合、尿細管の分泌のみ阻害することによりクレアチニンが上昇し、糸球体障害ではないので、腎臓が悪くなったとはいえません。

単にクレアチニンが上がったということであり、薬剤を中止すると戻ります。