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院長の臨床メモcolumn

2012.02.02

ビタミンDと貧血

透析患者さんの貧血の主な原因はエリスロポエチンの産生が低下していることです。

エリスロポエチン製剤にはエポジン、エスポーネスプ、ミルセラがあります。

これらのエリスロポエチン製剤を使用してもなかなか貧血が改善しないことをエリスロポエチン抵抗性貧血といいます。

一方、腎臓はビタミンDという骨の形成に必要なビタミンも産生しています。

腎臓が悪くなってくるとこのビタミンDが低下し、ほとんどでなくなってしまいます。

このビタミンDは最近、骨だけではなく貧血にも関係しているといわれています。

体内のビタミンDが低下するにつれて、貧血が高頻度に出現するという報告があり、さらに透析患者さんではビタミンDを内服すると貧血が回復したという報告もあります。

エリスリポエチン製剤を使用していない腎臓病の方の報告でもビタミンDを内服している方が貧血が圧倒的に少なかったようです。

腎臓病は微小な炎症が体内で起こります。

この微小な炎症が貧血を起こすことがあります。

また微小な炎症は造血物質である鉄分を体内で使われるのを邪魔します。

このような微小炎症をビタミンDはおさえてくれるようです。

微小炎症を抑えることにより鉄分が有効利用されて、貧血が改善するとも言われています。

ビタミンD内服薬は骨、動脈硬化、抗ガン作用などさまざまな作用があり、その多面的な作用は注目されています。

ただ、カルシウム値が上がることがあり石灰化という面からも注意が必要です。

カルシウム値をさげるレグパラを使用しながら積極的にビタミンD製剤を使っている施設もあると伺ったことがあります。

ビタミンDは内服薬が使用されています。

おそらく注射剤は効果時間が短いため、本来持つビタミンDの作用が出にくい思われます。