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院長の臨床メモcolumn

2012.08.14

ここ10年の日本の透析条件

ある会社の情報誌に「日本の透析条件はどうなっているのか?」というエッセイが載っていました。

そのご紹介と私見を述べます。

①週当たりの透析回数

⇒⇒⇒この10年で週2回の透析は減少し、週3回の透析が増加しています。かといって週4回などの頻回透析は増えていませんでした。

②1回透析時間

⇒⇒⇒4時間未満の透析が明らかに増加し、逆に4.5時間以上の透析時間が減少しています。4時間透析が平均的である状況が続いています。

③血液流量

⇒⇒⇒血液流量は改善されてきており、ここ10年んで血液流量220ml/分が明らかに増加しており、200ml/分が減少しています。

④透析液流量

⇒⇒⇒ほどんどの施設で1分間に500-550mlでありほぼ変わりありませんでした。

⑤透析膜

⇒⇒⇒合成高分子膜が明らかに増えており、膜面積も増えています。

印象としては週3回透析、4時間透析がごく一般的な透析条件と言えます。

透析流量は今後も大きくは変わらないと思いますが、オンラインHDFを導入されている施設は補液、透析液流量により総合的に増加する可能性があります。

血液流量や透析膜に関しては高血液流量と性能の高い透析膜を選択していく流れは続くでしょう。

しかし気になるのがやはり透析時間。

4時間透析未満が減っているのに、血液流量や透析膜の選択は向上している。

これって透析時間を他の血液流量増加などで補っている他ないと思います。

透析時間を透析膜や血液流量で補填できるのか?

できるわけがありません。

一番必要なことは透析時間と透析回数。

両方とも簡単な問題ではありませんが、良質な透析を目指す以上、「回数を増やせない」、「透析時間を増やせない」など様々の理由はあるにせよ透析従事者は良質な透析をしていくという信念は忘れてはいけません。

信念を持ちながら患者さんの生き方に沿っていく医療を目指していきたいと思います。